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2022年11月25日

卒業研究17-人間-空気環境系研究室

今年度も年一回の卒業研究経過のご報告です。
当研究室は、人の生活周辺の空気質・においと人との関係を研究しています。
今年度も4年生7名の7テーマ体制で行っています。

感染症環境で学科外学生を実験参加者にお迎えすることを控えていましたが、いよいよ今年度から解禁としてたくさんの延べ人数の学生さんに実験に参加してもらっています。

それでは一つずつご紹介を。

毎年恒例になっている三点比較式臭袋法による臭気濃度測定の風景です。B3生6名が授業の一環として測定に参加してくれました。多くのテーマでにおいの濃度を知ることは大事なので、この測定を複数名のB4が実験者として実施しました。
「トラブルは現場で起きているんだ!」を実感できる戦場みたいな実験室状況です。

さて、実験風景写真が今年はあまり撮れておらず…あるものから。

ペアリング消臭の実験です。空間の悪臭ににおい物質を足した場合に、双方とは異なるにおいと認識される現象をつかった悪臭除去と、その心理的なメカニズムの解明を目指す研究です。たくさんの袋のにおいを嗅いでもらって、「何のにおいだと思ったか」や「もう一袋と似ているか」を答えてもらいました。

似た実験方法で、もう一人のB4はマスキング効果の実験を実施中です。これまで何年か積み上げてきた知見の先に、そろそろ現実空間の生活悪臭を本当にマスキングできるかを実験から調べています。


似たような写真で恐縮ですが、彼の実験は図形とかおりと文字情報としてのかおり情報を同時に示された回答者がどんな評価を行うかという内容で、ちょっと複雑です。かおりと文字情報の内容が一致したり不一致だったりした場合に、どんな違和感を抱くかについて知ろうとする心理実験です。

心理実験にはもう一つ、楽しさをにおいで表現できるのかを探るテーマに取り組むB4もいます。同じにおいで複雑な楽しさ(ワクワクした明るい楽しさだったりちょっと暗い楽しさだったり)を異なる人同士でも共有できるかを検討中です。
さらに、もう1つのテーマでは、市販香水の透明感とされている評価側面って何なの?本当にそんなのみんなわかってるの?ということを心理評価実験で見出そうとするB4生もいます。


彼の実験は、スーパー等で見かける食品パッケージの煽り文句が買いたくなる気持ちにどれくらい影響するのかを調べるものです。においに関する煽り文句を慎重に作り上げて、それと本当ににおいを嗅ぐ場合とでどの程度の評価の差異が出るのか、結果が楽しみです。


最後は思い出とにおい評価シリーズ最新作、においの好き嫌いと快不快にみられる少しの評価の差異が、回答者の思い出によるものではないか?というのをモデル式を作りながら示そうとする研究です。
思い出アンケートとにおい評価実験との複合技でなんとかそこに迫ろうと、学生は日夜、式を考えてくれています。


そんなこんなで実験準備したり参加者募集のために学内を走り回ったり、一人一人に嗅覚検査を実施したり。学生たちは奔走、奮闘中です。
2月の卒業研究発表展では、これらの成果を皆様に見てもらえるよう、データの分析と発表資料のまとめを行っていきますのでお楽しみに。

⇒[人間・空気環境系研究室