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2021年02月17日

卒業研究15-人間-空気環境系研究室

すっかり年一ペースでしかご紹介しなくなって久しいですが、今年度のゼミでの研究のご紹介です。

当研究室は、人の生活周辺の空気質・においと人との関係を研究しています。
今年度は4年生7名の7テーマ体制で行いました。

人と空気の関係がメインテーマのゼミです。ということは、人に空気(ほとんどがにおいです)をぶつけてどんな反応や評価が返ってくるかを知る実験が不可欠だと思うのですが、感染症の環境下では実験をどのようにすればできるかというところから考えなければならない難しさがありました。

無事に全員が実験を実施して感染などが起きることはありませんでしたが、学生も竹村も薄氷のうえを歩く気持ちで一年を過ごしました。「実験を止めるわけには行かないので、アルバイトや日常生活も気を遣いました」と学生から聞いたときは、頭が下がる思いでした。

今年度は卒研展がWeb上で開かれていますので、結果の一部だけですが、そんな苦労の跡を本人の口から成果をお聴き頂けます。
[https://sites.google.com/view/ledsotsuten2020/top]
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実験実施への厳しい倫理的環境だったと思いますが、例年と同様のクオリティを保って頑張って面白いことを調べてまとめてくれたと思っていますので、是非ご覧頂きたいです。

さて、ではそれぞれのご紹介を。
まずはスメルスケープ、かおり風景の研究です。環境省がかおり風景100選を出して20年くらいが経ちました。地域のにおいがどんな季節や時間帯にどこでどのように広がるかを知ることは、地域の文化や生活から創られる特性を感じることにつながります。その調べ方を確立できれば、町おこしなんかに使えるかも。
ということで、評価者たちが寝屋川の3か所を歩いてにおいを探し、地図上に記録する実験を行いました。
外での写真がないのですが、現地での記憶があとになっても思い出せるのか、つまり「地域のにおいを教えて下さい」アンケートでも同じことが知れるのかを確かめる実験室実験も併せて行いました。
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外歩きの時期が意外に暑い日が多く、PET水の配布が役立ちました。先行研究の隙間を埋める大事な内容になりました。

次は、時間評価の研究です。「楽しい時間はあっという間」みたいな感覚ににおいがどんな影響を及ぼすのか。そしてその影響が「思い込み」でさらに影響を受けるのかを調べました。
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結果は想像以上でした。しかも、前年度の先行研究と傾向も類似したので、においの影響がだんだんとはっきりしてきたぞ…というところです。

3つ目は、臭気強度評価訓練のおはなしです。ISOの室内臭気評価では、訓練して一定基準内の評価ができた人はばらつきが小さいから少人数で評価してもいいよと言っているのですが、『基準内に入らなかった人でも十分にばらつきは小さくなってるよ!』ということを明らかにしてくれた意欲作です。
実験自体は人ににおいを嗅がせては「その袋はこの強さでしたー」と返すのを繰返すというすごく地味で大変な作業でしたが、成果としては面白い研究です。
4つ目も地味な実験だったマスキングの内容です。これも会議室で問題になりそうなにおいとそれを打消す芳香剤のようなにおいとを、個々そして混ぜた状態で袋から嗅がせるという作業を繰返し行うという地味な実験でした。
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実験を完了してまとめてくれたB4もそうですし、それらの実験にフルで付き合ってくれたB3や他ゼミの皆さんにも大感謝です。

5つ目は作業効率へのにおいの影響を少し切り口を変えてやってみようという研究です。事前に別の作業で心身が疲れた回答者が、においのある環境で次の作業をするとどうなるのかな?を実験しました。悪臭成分も含めて実験してくれて、驚くほどはっきりと傾向の差異が見えたのが面白かったです。
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6つ目はパーソナルスペースの実験です。「これ以上近寄られるとちょっと圧迫感があるな…」ということへのにおいの影響を見ました。限られた条件下ですが、においが印象に及ぼす影響があるんだということがわかりました。あとは性差がまあまああったのが印象的でした。
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最後が車内のたばこ臭を空気清浄機でどれだけ取れるかなを調べた研究です。これはなかなか実験が難しくて、最も興味があったサードハンドスモーク(喫煙した際に服や室内の内装についたたばこ臭が再放散してあとあとにおう)の試料を用意するのに、濃い濃度のにおいが作れずに担当学生ともども七転八倒しました。ただ、意欲的にあれこれ測定したり試してみたりしてくれたこともあって、車内喫煙があった場合についてはなるほどな感じの結果を整えて見せてもらえたという感じです。
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世間の常識(これくらいやっていれば責められないねという水準)が刻々と変化するように感じられた環境下で、実験を例年とほぼ同等で無事に完遂してくれたこと、まとめまできっちり済ませてくれたことに心から敬意を表しています。
次年度も感染症自体は残りそうですので被験者実験を行うことの難しさは残りますが、次の4年生もまた面白いことを考えてくれるように日々相談しています。

P.S.
給排水設備研究(NPO給排水設備研究会)7月号にて概要が公開される予定です。

⇒[人間・空気環境系研究室]