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2012年09月27日

ドュイスブルク‐エッセン大学教授クトラー教授による特別講演会を開催しました!

「都市スケールにおける気候変動 -影響と対策」というテーマでドュイスブルク‐エッセン大学教授クトラー教授による特別講演会を9月27日(木)15時~18時(4,5時限)、摂南大学寝屋川キャンパス12号館6階共通ゼミ室4において住環境デザイン学科の主催で開催した。

 

ウィリヘルム・クトラー教授(Prof. Dr. Wilhelm Kuttler)は,ドュイスブルク‐エッセン大学(Universitaet Duisburg‐Essen)の応用気候学分野の教授であり,国際都市気候学会(IAUC、International Association for Urban Climate)の評議員(2004-2008年)を務められるなど国際的にも著名な研究者である。研究分野は,都市・地域気候学であり,都市および自然地域の外部空間における人間気象学(すなわち人間に対する放射,熱,大気の影響)領域での気温,湿度,風の時間空間解析が主な内容である.さらに,静穏で晴天の気象条件における都市と緑地の相互作用,および都市域での地表付近の空気交換(冷気流)に関しても多数の論文がある。また,都市の土地利用構造に基づき,気象学および大気衛生学の視点から地域計画に対して多くの知見を提供している。 講演では、「都市スケールにおける気候変動-影響と対策」というテーマで第一部、第二部の2つのパートに分けておよそ80分づつ講演と質疑を行った。

 

第一部「都市気候とグローバルな気候変動の熱環境影響」では、はじめに「都市気候」の定義や特徴、都市表面の熱的な特性、エネルギーバランス及びヒートアイランドの影響について説明された。引き続いてグローバルな気候変動の都市の熱環境気候への影響について2100年頃までの予測結果を示して説明された。第一部の最後に、グローバルな気候変動の都市の大気構成物質への影響について話を進め、粒子状物質、NO2、オゾンについて、特に熱波による影響について詳述された。

 

20分ほどの休憩の後に行われた第二部「グローバルな気候変動の熱環境影響に対する都市の対策」では、中央ヨーロッパにおける気候変動対策として次の7項目を挙げて説明された。(1)建物エネルギー消費の削減、(2)建物の最適な断熱とパッシブ/プラス エネルギーハウスの建設、(3)再生可能エネルギーの有効利用、(4)不浸透水性表面の撤去(クールサーフェス)、(5) 高反射率表面と日影(緑陰)の増加、(6)都市と自然地域の風の道の維持と創生、(7)緑地の拡大(公園、並木、壁面や屋根の緑化)。最後に、緑地面積の拡大は必要だが、ある種の植物から発散されるVOCs(BVOCs;イソプレンC5H8、テルペン)に注意する必要がある。これはオゾンを発生させる重要な先駆的なガスであり、BVOCs放散の少ない都市緑地の植物として推奨する種類を表に示した。

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