研究活動
インテリア・建築の歴史研究で得たことを、生命科学科の物理学者である松尾教授と共に融合研究「光合成建築」の実験と実践に取り組んでいます。歴史研究を続けてきたわけは、現代と未来につながる重要な考え方を先人の思考と実践から多く学べるからです。近代の優れた建築家たちは、優れた家具・インテリアデザイナーでもありました。 彼らの作品・文献を調べると、家具・インテリア・建築・環境デザイン すべてに共通する抽象的な考え方(空間の概念・デザイン手法)を持っていたことがわかります。 抽象的な考え方は、概念に過ぎないゆえに現実には役立たないと捉えられがちですが、 概念であるが故に、時代を超えて社会に有用な何かを投げかけることもできます。
つまり、一見、つながらないと思われる出来事や作品や考え方が、実は、とても近しく新たな地平につながっていると思い、私は以下のようなテーマで研究しています。
〇光合成建築」に関する研究 【科学研究費 基盤B】
〇アイリーン・グレイが生み出した屏風における建築的特色
◯謎の漆芸家、菅原精造がヨーロッパの装飾芸術家たちに与えた影響
〇アイリーン・グレイの家具・インテリア・建築デザインに関する研究
〇菅原精造および稲垣吉蔵の日本漆芸・彫刻が西欧の空間芸術に与えた影響 【科学研究費 基盤C】
◯20世紀初頭、インテリア・建築デザイナーが提案したデザインシステム
◯インテリア・建築を小・中学生、高校生に伝える方法に関する考察
制作活動
〇光合成スクリーン:アイリーン・グレイへのオマージュ
〇光合成ウォッチ
〇光合成建築:未来の駅案
〇光合成建築:森の別荘案
〇光合成建築:まちの住宅案
〇滝内医院、坂田医院・邸、正英印刷事務所ビル[以上、建築研究所アルセック]
〇神戸異人館・萌黄の館 リニューアルデザイン(重要文化財小林家住宅)[横山晴美と共同]
社会活動
◯小・中学生向け建築テキストを作成(大阪府住まい・まちづくり協議会)
◯関西圏学生にゼネコン、設計事務所などの現場見学を企画(日本建築協会)
◯大阪を再発見して活性化するコンペティションを企画中(日本建築協会)
◯枚方市駅周辺再整備ビジョン専門検討委員会委員(枚方市)
◯神戸異人館・萌黄の館リニューアル・インテリアコーディネート(横山晴美)
論文
Design of an Architectural Element Generating Hydrogen Energy by Photosynthesis—Model Case of the Roof and Window
Hinako Kawakami, Yasumitsu Matsuo
Designs 6(58) 1-15 2022年 査読有り筆頭著者
Solid-State Hydrogen Fuel by PSII–Chitin Composite and Application to Biofuel Cell
J. Compos. Sci. 5(317) 1-12 2021年 査読有り最終著者
光バイオ燃料電池でつなぐ融合型基礎実験の開発-理工学多分野で応用可能な総合実験-
瀬溝人生, 松尾康光, 川上比奈子
工学教育 70 83-87 2021年 査読有り最終著者責任著者
藻類を用いた「光合成建築」に関する考察 ~廃棄する藻類を利用したPSⅡバイオ燃料電池と窓の一体化~
川上比奈子, 松尾康光
融合科学研究所論文集 6 13-27 2021年 査読有り筆頭著者
光バイオ燃料電池と一体化する「光合成建築」
川上 比奈子, 松尾 康光
色材協会誌 93(12) 393-398 2020年12月20日 査読有り招待有り
Novel Biofuel Cell UsingHydrogen Generation of Photosynthesis
Akinari Iwahashi, Takuya Yamada, Hinako Kawakami, Yasumitsu Matsuo
Journal of Functional Biomaterials 11(81) 81(1)-81(15) 2020年 査読有り責任著者
光バイオ燃料電池と融合する「光合成建築」
川上比奈子, 松尾康光
色材協会誌 6(1) 13-27 2020年 査読有り筆頭著者責任著者
アイリーン・グレイの家具・インテリア・建築デザインの謎 ‐ル・コルビュジエ、そして菅原精造との影響関係を通して‐
川上 比奈子
武庫川女子大学生活美学研究所紀要 (28) 67-93 2018年 査読有り招待有り筆頭著者
Japanese Lacquer Artist, Seizo Sugawara: His influence on Eileen Gray and Her Furniture, Interior Decoration, and Architecture
川上 比奈子
デザイン史学会 15 157-190 2017年 査読有り招待有り筆頭著者
漆芸家、菅原精造がアイリーン・グレイの家具・インテリア・建築に及ぼした影響
川上 比奈子
デザイン史学研究 (15) 104-129 2017年 査読有り招待有り筆頭著者
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アイリーン・グレイが学んだ菅原精造の日本漆芸の背景
川上 比奈子
デザイン学研究 63(6) 57-64 2017年 査読有り筆頭著者
アイリーン・グレイ-ヒンジ的なるものによる模様の内なる白紙-
川上比奈子
モダニスト再考 海外編 100-115 2016年 招待有り筆頭著者
Flexibility of hydrogen bond and lowering of symmetry in proton conductor
Yukihiko Yoshida, Junko Hatori, Hinako Kawakami, Yasumitsu Matsuo, Seiichiro Ikehata
Symmetry 4(3) 507-516 2012年9月 査読有り
フランスの近代装飾・工芸運動 ― アール・デコとその周辺 ―
川上比奈子
近代工芸運動とデザイン史 100-113 2008年 査読有り招待有り筆頭著者
アイリーン・グレイの屏風・インテリア・建築における共通モチーフに関する考察
川上 比奈子
夙川学院短期大学研究紀要 (36) 37-52 2007年 査読有り筆頭著者
菅原精造の履歴に関する調査・資料
夙川学院短期大学研究紀要 (34) 33-54 2006年 査読有り筆頭著者
アイリーン・グレイの窓に関する考察
夙川学院短期大学研究紀要 (32) 37-52 2005年
アイリーン・グレイの最小限住宅 E.1027におけるデザイン手法に関する考察
川上比奈子
デザイン学研究 50(6) 57-66 2004年 査読有り筆頭著者責任著者
アイリーン・グレイの屏風に関する考察
川上 比奈子
日本デザイン学会誌 デザイン学研究 50(6) 67-76 2004年 査読有り筆頭著者
アイリーン・グレイの建築意匠に関する研究(博士学位論文)
京都工芸繊維大学 2004年 査読有り筆頭著者
著書
『モダニスト再考 海外編』「アイリーン・グレイ」 、彰国社、 2016年
『作家たちのモダニズム~建築・インテリアとその背景』「Eileen Gray アイリーン・グレイ 」、学芸出版社、2003年
『近代工芸運動とデザイン史』思文閣出版、 2008年
『国際デザイン史 日本の意匠と東西交流』「アイリーン・グレイと日本 : 屏風から建築への展開」、思文閣出版、 2001年
講演・口頭発表
光化学系Ⅱによるプロトン生成と固体バイオ燃料電池への可能性
川上 比奈子
第45回固体イオ二クス討論会 2019年11月27日
光合成建築
川上 比奈子
第5回摂南大学融合科学研究所講演会 2019年10月10日 招待有り
「光合成」でつなぐ融合型基礎実験の開発
川上 比奈子
日本工学教育協会第67回年次大会 2019年9月5日
アイリーン・グレイの建築デザインと日本美術の影響
川上 比奈子
第13回住環境デザインフォーラム 2019年7月17日 招待有り
光合成建築 ~水/クロロフィル系バイオ燃料電池システム搭載環境調和型建築デザイン~
川上 比奈子
第15回日中大学フェア&フォーラムin CHINA 2019 2019年5月27日
"Protonics based on Tissue Derived Biomaterials"
川上 比奈子
9th World Congress On Chemistry and Medicinal Chemistry 2019年5月14日 招待有り
アイリーン・グレイと日本の美術
川上 比奈子
近代建築史特別講演 2019年1月12日 招待有り
アイリーン・グレイのデザインにおける日本的なるもの‐菅原精造、稲垣吉蔵など渡仏美術家たちを通して-
川上 比奈子
インテリアデザイナー協会60周年記念 デザインリフレクション 2018年10月13日 招待有り
光合成建築 ~水/クロロフィル系バイオ燃料電池システム搭載環境調和型建築デザイン~
川上 比奈子
イノベーションジャパン2018 2018年8月30日
アイリーン・グレイの家具・インテリア・建築デザインの謎 ‐ル・コルビュジエ、そして菅原精造との影響関係を通して‐
川上 比奈子
生活デザイン研究会 2018年1月20日 招待有り
漆芸家、菅原精造がアイリーン・グレイの家具・インテリア・建築に及ぼした影響
川上 比奈子
デザイン史学研究会 第14回シンポジウムニッポン・プロダクト再考 2016年7月9日 招待有り
アイリーン・グレイの家具・インテリア・建築に関する考察 –漆塗り屏風から住宅E.1027への展開を軸として
川上 比奈子
日本建築学会近畿支部平成22年度第90回建築論部会講演会 2011年3月29日 招待有り
アイリーン・グレイの屏風・インテリア・建築について - 屏風と住宅E.1027に共通する欠けた矩形と空隙
川上 比奈子
意匠学会第49回大会 2007年11月11日 招待有り
3D05 光バイオ燃料電池でつなぐ融合型基礎実験の開発 -理工学系全分野で応用可能な新規融合型総合実験-
瀬溝人生, 川上比奈子, 松尾康光
工学教育研究講演会講演論文集(Web) 2021 2021年
2F16 「光合成」でつなぐ融合型基礎実験の開発—計画,プレゼンテーション,先端研究を取り入れたものづくりから成る一貫実験
川端 隆, 川上 比奈子, 松尾 康光
工学教育研究講演会講演論文集 2019 266-267 2019年
9410 アイリーン・グレイの住宅E.1027における模式図と動線図の関係(1) : 住人の動きに関する考察(西洋:近代(4),建築歴史・意匠,2013年度日本建築学会大会(北海道)学術講演会・建築デザイン発表会)
藤岡 司, 川上 比奈子
学術講演梗概集 2013 819-820 2013年8月30日
アイリーン・グレイの屏風・インテリア・建築について –屏風と住宅E.1027に共通する欠けた矩形と空隙
意匠学会誌デザイン理論 52 102-121 2007年
The Investigation of Folding Screens by Eileen Gray
The Science of Design Bulletin of Japanese Society for the Science of Design 50(6) 67-76 2004年
The Design Methods of Eileen Gray in Minimum House E. 1027
The Science of Design Bulletin of Japanese Society for the Science of Design 50(6) 57-66 2004年
漆芸家, 菅原精造の活動について アイリーン・グレイの建築意匠に関する研究(3)
川上 比奈子
日本デザイン学会誌デザイン学研究2000年第47回研究発表大会概要集 47 66-67 2000年
A Study on Japanese Lacquer Artist, Seizo Sogawara Study on Eileen Grays' Architectural Design(3)
Proceedings of The 47th Annual Conference of Japanese Society for The Science of Design 2000年
EILEEN GRAY
Kenchiku Bunka may 54(631) 70-73 1999年
アイリーン・グレイの建築意匠に関する研究(2)
日本デザイン学会誌デザイン学研究1997年第44回研究発表大会概要集 88 1997年
Study on Eileen Gray's Architectural Design(2)
BULLEIN OF JAPANESE SOCIETY FOR THE SCIENCE OF DESIEN 88 1997年
アイリーン・グレイの建築意匠に関する研究(1)
日本デザイン学会誌デザイン学研究1996第43回研究発表大会概要集 42 1996年
A Survey of the Proportions of Murotani Tea-Ceremony House
BULLTIN OF SHUKUGAWA GAKUIN JUNIOR COLLEGE (20) 51-64 1996年
Study on Eileen Gray's Architectural Design(1)
BULLETIN OF JAPANESE SOCIETY FOR THE SCIENCE OF DESIGN 42 1996年
建築・デザイン系専門誌などメディア掲載
①Hinako Kawakami and Yasumitsu Matsuo, “Beautiful renewable energy”, Impact -Advancing technology-,pp.39-41,2020
②川上比奈子、松尾康光:記者会見メディア向け説明会、摂南大学、2020年2月25日
③川上比奈子、松尾康光:「世界が注目『光合成建築』」、J:COMデイリーニュース~北河内~、2020年2月26日
④川上比奈子、松尾康光:「建築に光合成燃料電池」、日刊工業新聞、2020年2月27日28面、
デジタル版 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/549552
⑤川上比奈子、松尾康光:「光合成パネル -『植える』建築実用化目指す」、建設通信新聞、2020年2月27日11面、デジタル版 https://www.kensetsunews.com/archives/424153
⑥川上比奈子、松尾康光:「『光合成建築物』で発電」、毎日新聞、2020年3月5日21面、デジタル版 https://mainichi.jp/articles/20200305/ddl/k27/100/279000c
⑦川上比奈子、松尾康光:「摂南大学、植物の葉緑体を利用した『光合成パネル』、WEBサイトメガ
ソーラービジネス、2020年3月12日
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/00678/?ST=msb
⑧川上比奈子、松尾康光:「光合成建築:未来の駅」
掲載誌:酸素と電気を生み出す「光合成建築」植物・生物由来で循環型社会を目指す,日経クロステック(2020年4月9日)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/00846/
⑨川上比奈子、松尾康光: 「光合成スクリーン アイリーン・グレイへのオマージュ」
掲載誌:「酸素と電気を生み出す『光合成建築』植物・生物由来で循環型社会を目指す」、日経アーキテクチュア、2020年4月23日13頁
⑩Hinako Kawakami and Yasumitsu Matsuo, “Japanese influence on architecture revealed -Exploring Gray areas-”, Impact,pp.92-94,2021
⑪川上比奈子:「環境問題や学科の学びとSDGsとのかかわり、また、生命科学科の松尾康光教授と開発した「光合成建築」について紹介」、FMひらかた ひらかたMaterial(FM77.9)、2021年9月21日(火)17:35頃 〜生中継(10分程度)
⑫川上比奈子、松尾康光:「光合成する建築」、全国ネットにおける株式会社大林組のTVCMのイメージソースに採択され、同社のWEBサイトで大学・学部・学科・研究者名とともに「光合成建築」について紹介される
各種助成金獲得および共同研究など
①2016年度~2018年度 科研費基盤C 研究代表者
②2018年度 公益財団法人 八洲環境技術振興財団 平成30年度 研究開発・調査助成に採択
③2020年度~ NDA締結 3社
④2021年度 ユニオン造形文化財団研究助成に採択
⑤2021年度~ 株式会社大林組と共同研究契約を締結
⑥2024年度~2026年度 科研費基盤C 研究代表者
⑦2024年度~2026年度 科研費基盤B 研究分担者
特許
川上比奈子、松尾康光:「光化学系IIを利用した光バイオ燃料電池およびその利用物」、特願2019-097215、2019年5月23日