研究室を自分達で設計・施工
軸組工法を活用した「可変型家具&多機能空間」木造システムの開発と制作:ゼミ室の家具&空間を容易に解体・再構築可能なシステムの実験作として開発しました。鑿(のみ)、鉋(かんな)、手鋸(てのこ)、墨ツボ等の基本的技術を学びながら、電動工具による加工技術も習得し、実際に自分の手や体で材料の特性を体感しながら、木造を理解していきます。今回は机の向きを自在に変え、本棚や太陽光を反射させるコンポーネントを取り入れることができる、構造フレーム体を共同で作成し、各空間の壁や付帯物を学生が新提案・改良していく計画です。(いささか、今年は骨組みだけで力尽きた感もありますが。。。)。伝統的な手工具による大工技術の実践から基本的な木材料の接合部や加工における「考え方」を理解し始めました。また今回は未乾燥材の積極利用を行い、含水率変化における木材の天然乾燥過程における特性を観察し、それをデザイン上どのように配慮すべきか等の理解に役立てます。含水率が150%を超えていたので、搬入時には皆その重さに苦労しました。今では驚く程軽くなり、乾燥収縮や心持ち材の干割れが進んだことも確認できます。一年間、日々の観察と体験を通して木への理解を深めていきます。窓から遠い空間へ光を入れるために一段高くしたことで、窓からの景色も更に良くなりました。
白鳥講師の持論、「万事は体験を通して真の学びとなる」から、日本の持続可能材料の一つである木材、特にスギとヒノキの心持ち材を積極的に活用し、その節、匂いや加工性の違いなども意識しました。
これらの自分達で考えたデザインを材料の特性を理解した上で実現する意義を卒業研究に入る前に行う、「導入プロジェクト」としても有意義な体験でした。そして自分で何でも、家でも造ることができるという実感や、卒業研究の「開発」研究に必要な手順と視点を身に着けました。
下級生も積極的に参加(巻き込まれ)しました。周囲も興味津々で何ができるのか、廊下に広がるヒノキや杉の芳香と、けたたましい騒音とに、余計に仕上がりを待望していました。小さい空間を、デザインにより広く、使いやすくできることも立証できました。次はキッチンのデザインと施工。。。までたどり着けるとよいのですが。。
研究テーマ例
研究テーマ例
・被災した建物の「早期復旧」を可能とする新しい木造嵌合接合部構造の開発と応用
・鱗から起案した多機能型外装材の開発研究
・籾殻を活用した内装追加型断熱ウォールの新しい可能性研究
・サスティナブル型チャペルのデザイン提案
・都会の自然を取り込んだ中之島「下の島」デザイン構想
・未活用国産材を多用した「家具と空間」構成システムの開発研究
・既往仮設住宅の問題解決を意識した新しい木造仮設住宅のデザイン開発研究
学生に期待する姿勢
・新しいものや捉え方を「創る」ことに情熱がある人。遊びも学びも真剣な人。
人間や生物が好きな人。
・週4日以上ゼミ室に来て研究を進められる自己管理能力と問題意識の高い人。
・分野を問わず、あらゆる物事(自然科学・技術・芸術)を追求することが好きな人。世界的視野を持ちたい人。
・自分でデザインしたものを試作したい人(特に何でも作ってみたい人には天国。応援します。)
冒険好きな人。
・講師や学生間の会話を楽しめる人(考えさせられる質問攻撃にあいますので、その会話を楽しいと思える人)。